コロナ禍のなか、強引に開催されたオリンピックがあった夏。8月の初めから下旬まで愚図ついた天候が続いて釣りになりませんでした。「釣りの仕方も忘れたんじゃないか?」と思い始めた8月20日過ぎ、やっと楽し気な釣果の情報が聞こえ始めました。
近頃は釣れないので釣りに対する熱意も冷め気味で定期的に巡回する釣り場にも車窓から見るだけで「波止際に立つことにさえ不慣れな気がする」ような感覚になっていました。
8月もお盆のころは、まだまだ夏前の釣り物の名残ような釣果で「宛ら草野球の練習試合のような釣り」でしたが、8月も20日の声を聞くころになってくれば、秋の釣り物の気配が色濃くなっていました。
とりわけ9月といえば待ち望んでいた太刀魚の接岸が始まる時期です。お盆過ぎから降り続いた雨もひと頃は豪雨と呼ばれる降り方をしましたが、その濁りからも徐々に回復してきたころに今年も待望の太刀魚が釣れ始めました。
人が集まれば
「接岸し始めた」といっても型はまだまだ小ぶりで盛んにルアーで喰ってきます。波止場全体では初めてみるような大物も何尾か釣れたようですが、それらは餌釣りで釣った獲物ということです。
専らF2~F3サイズが中心で、早朝なら明るくなり始めたころから釣れ始めてだいたい午前10時頃まで釣れるようです。確実に釣れるということではなくて「たいていその頃まで盛んに釣れているようだ」ということなんです。
去年から今年にかけては新型コロナウイルスの蔓延で人が集まるレジャーは敬遠されがちです。海に向かって釣る釣りなら感染の心配もなさそうですが、ほかの楽しみが禁忌とされたら、本来なら安全パイな釣りも釣り人が溢れるくらいに集まってしまいます。それに伴って屋外と言えども感染のリスクは高くなります。
釣れるとなれば
近頃はスーパーの店頭でも太刀魚は高級魚の仲間入りを果たしたようで、高値で販売されているようです。ほかの魚に比べて料理のし易い太刀魚が人気なのはわかりますがこう高値で売られているとなれば「ちょっと行って釣ってくれば何千円かの価値になる」ということで波止場に釣り人があふれることになるわけで。
元々人気な太刀魚釣りにコロナ渦が拍車をかけたような今の状況は「下手な日常釣り師の私」にとっては今まで以上に早起きして波止場に駆け付ける必要ができて「余り芳しくないといった方が良いこの頃」になってしまっています。
釣りは、始めるのも止めるのも誰かが指図できることではありませんので、只管(ひたすら)太刀魚の人気が冷めるのを待つか?凍えるくらいに寒い時期になって誰も釣りに来なくなるのを待つか?・・「釣れるのは良いが、釣れすぎて釣り人が増えるのは困る」私にとっては悩み多い季節がやってきたようです。
明るくなるまでは鰺
タチウオが釣れ始めるまでは鰺釣りが楽しめます。他所の釣り場では太刀魚は朝夕ののマヅメ時のどちらかといえば暗い時間帯の釣りモノですが、此処では明るい時間帯の釣り物として考えたほうが都合がいいのです。
暗いうちにも太刀魚は釣れますが、餌釣りが中心でしかも釣れても細い魚体が多く明るくなってからの釣りを思えば止めた方が利口かもしれません。それよりも25cmクラスの鯵をズボのサビキ釣りで狙う方が楽しいでしょう。
タナは、その日によってマチマチですが、比較的底近くを狙っていれば大きな間違いではないと思います。サビキはハヤブサの蓄光サビキを使っていればまず釣れないということはないですね。ハリスは2号まで。細い方が喰いは良いですが、時たま40㎝近いイサキやそれよりは少し小ぶりでしたがコロ鯛等嬉しい外道も期待できますので細いハリスはお勧めできません。だいいち尺越え~40cmの鯵も釣れたりしますので、ハリスが2号というのは必要最低限の選択になると思います。
東の空が明るくなり始めたら
東の空が白んでくればサビキの出番はおしまいです。「本来ならこれからがマヅメ時で本番」という時間帯ですがおそらくは(私の想像ですが)太刀魚のプレッシャーがあって鰺も「餌など啄んではいられない」という状況になってしまうのでしょう。
日が昇るにつれて太刀魚が釣れ始めます。ほぼ一斉に若者中心なルアー部隊が竿を振り始めます。若者に混じって年配の釣り師も頑張っています。午前6時半がこの釣り場の一つのポイントになります。それは砂利運搬船の接岸や作業開始がだいたい6時半をめどに動きがあるからで、この時間に何事もなければ一安心なのですが、稀にこの時間より外れた作業開始もありますので「6時半が万全」とは言えませんが・・。
今朝の状況ですと、釣れ盛ったのがやはり6時半のポイント前後でした。それからしばらくして私は引き上げましたが、あとの状況を残った友人に聞けばその後は徐々に釣れなくなったとか。良い日なら午前10時を過ぎるころまで釣れる日があるのに今朝は時合いが短かかったようですね。
太刀魚は未だ細い
確かに太刀魚は良く釣れます。今朝は私でも40尾ほどは釣っていました。ただ、傷つけてしまったから持ち帰っては来ますが、魚体がまだまだ細くて痛々しいものが多いです。私の場合は嫁や娘が細くても丁寧に料理してくれて無駄なく食べることができていますから。
あと半月。9月も中旬になれば知り合いにも配れる大きさが揃うでしょう。それまでは自家消費に頼るほかありません。太刀魚は獰猛な魚ですが、仲間内での共食いや傷ついた場合にはやはり弱いですね。特にルアーで釣る場合には大きな針で強く引っ掛けることから、鰓や腹部に傷を負わせてしまいがちです。
「一度釣ってしまえば、ほぼ海に返しても生き永らえることはない」と覚悟して釣ることが大切だと私は考えています。海に戻しても何かの魚の餌になればそれはそれでいいのかもしれませんが、食べる目的で釣っているわけですから小さくても「一旦針に掛ければ責任をもって食べることが必要」だと思っています。
知り合いの中には小さいのは飼っている鶏の餌にする人もいるとか?これもひとつの考え方かもしれませんね。願わくば「ただ持って帰ってゴミとして捨てること」だけはしないようにしたいものです。
では、また。
#太刀魚#鯵#波止釣り