VICTOR アナログプレイヤーQL-5 の高速回転は、4558が犯人だった。

いつものように修理を頼まれました。

「プレーヤーなどの回転系は苦手だから」

と一度は断りましたが、

例によっておだてられて「ダメ元なら」と引き受けてしまいました。

いつものようにドツボにはまり

「肩凝りしまくり」の修理となりました。

所謂全交換に近い修理です。

これならだれでも直せるでしょう?

ほぼ全部交換したんですから。

経験やノウハウとは無縁のサバイバルな修理です。

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症状を確認してバラシます。

見た目は大変綺麗なプレーヤーですが、バランスウェイトの付く部分がこの機種にありがちな

「尻下がり」の状態です。

これにはかかわらないという約束ですのでそのままにしますが

「何か?気になりますよねえ。この下がり具合」

ま、とにかくバラしていきます。まずはトーンアームを基台部分ごと

外します。

症状の方は、スイッチオンで回転数を選択すれば

徐々に回転が上がり始めて暫くすると

ボディーごと揺れるくらいに高速回転します。

「なんか怖い感じ!」すぐにスイッチを切ります。

「これは、回転の制御基板が怪しい」と目星をつけて

早速犯人捜しです。

辿り着きました。1枚基板のシンプルな構成ですね。

先ず第一番にツェナーダイオードを発見しましたので、

これを交換します。

一度、電源を入れて回転が正しくなったかを確認します。

今回はこんな地道な修理です。

これでビンゴだったら「チョロいのになあ」スイッチを入れてみて・・

あー。直っていません。

そう簡単には行きませんよね。

彼方此方見回しています。

このクリスタルとICがダメならアウトですね。

この部品はたぶん手に入らないでしょう?

(クリスタルは探せば入手できるかな?)

地道な作業に戻ります。

途方に暮れて、電解コンデンサの全交換です。

その次は半ばやけっぱちで半固定抵抗のチェックです。

簡単に交換したいところですが、

あいにくこの形の同じ値のモノがなくて

(もう少し小さなものしか手持ちに無い)外してテスターで確認して取り付けました。

ここまでやってもまだ駄目です。

次は小信号用トランジスタの全交換をします。

少し飽きてきました。

最近は持続力がめっきり無くなりました。年ですね。

小信号トランジスタを交換してもまだ回転が速くなります。

「それでは!?」と1Wクラスのトランジスタを

すべて外してチェックしましたが異常なさそうでした。

ならばと「クリスタル」を外して

ディップメーターで「発振を確認-OK・・」でも回転は元のままです。

 

かくなる上はやはりOSC用のICが不良なのか?

この部品は入手できないし

データシートもネット上には落ちていませんでしたので

チェックするなら大変な作業になります。

「万事休すか?」と思いながら眺めていると、

まだチェックしていない部品がありました!

 

「4558」です。

 

まさか壊れていないだろうと信じていた部品です。

これはDタイプとDDタイプが使われています。

DDやDAは手元にありますがDが無い!

仕方がないからDの処にはにはDAを付けることにします。

 

「この二つを一気に取り換えて動作確認・・」あれれ!直ったぞ!

「めでたし、めでたし!」

ただ、直ったのは良かったんですが、二つ一気に取り換えたからどちらが犯人だったか?

解らずじまいになってしまいました。

肝心のIC

犯人はどちらかの4558だったようです。

肝心のOSC用のICが壊れていなくて良かったです。

「コツコツと片っ端から部品を交換していく」

無知な私の基本的なやり方です。

 

幾つかやっているうちに

経験値で「スパッ」と故障個所を見つけることもありますが、

基本はこのやり方です。

 

アンプなんかだと

信号を入れて計測できるから故障個所の発見も幾分早くなるかな?

そりゃ、ボロでもオシロやら持ってるから、もう少し経験を積めば

こんな修理も計測しながらやれるんだろうけど・・。

ストロボで確認しても綺麗に回転が合っています。

トーンアームを取り付けてレコードをかけてみました。

良い音していますね。

「何はともあれ」入手困難なICがが壊れてなくて

手持ちの部品で間に合って

「よかった。よかった!」

 

依頼者に「直ったよー」と連絡します。

 

では、また。

 

#QL-5#プレイヤー#修理#高速回転#アナログレコード


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