立秋を過ぎれば、心はもうタチウオ。秋の銀鱗を待つ波止釣り師の独り言

8月7日は二十四節気のひとつ「立秋」。暦の上ではこの日から秋が始まります。とはいえ、実際には一年で最も厳しい暑さが続く季節。「どこが秋なんだ」と思わず空を見上げたくなるような日が続きます。

それでも、波止釣りを楽しむ人間にとっては、立秋という言葉を耳にすると少し気持ちが変わります。「そろそろ秋の魚が気になるな」。そんな思いが自然と湧いてくるのです。

秋の波止釣りと聞いて、真っ先に思い浮かぶ魚はタチウオという方も多いでしょう。夜の堤防で、暗闇を切り裂くように竿先が引き込まれるあの瞬間は、何度味わっても胸が高鳴ります。

もっとも、私が通う和歌山県の釣り場では、タチウオの本格的な回遊は少し遅めです。早くても9月中旬頃からという印象があります。立秋だからといって、すぐに釣れ始めるわけではありません。

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そして、この時期の最大の悩みは何と言っても台風です。

毎年のように台風情報とにらめっこしながら、「今週末は行けるだろうか」と気を揉むことになります。しかし、不思議なことに、台風が過ぎて海の濁りが落ち着いた頃からタチウオの群れが接岸することが少なくありません。

もちろん自然相手ですから毎年同じとは限りません。それでも、「台風の後はチャンスかもしれない」という期待を抱いてしまうのは、釣り人の性というものでしょう。

9月も半ばになると、日中はまだ暑くても夜風には少し秋の気配が混じり始めます。汗だくになっていた夜釣りも、いつの間にか上着を一枚羽織るくらいがちょうどよくなります。

あの過ごしやすい夜の堤防で、虫の声を聞きながら電気ウキを眺める時間は、私にとって一年でも特に好きな季節です。

ただ、ここ数年のタチウオ釣果は決して良いとは言えません。「今年も厳しかったな」と肩を落として帰る日が増えました。海の状況が変わっているのか、回遊のタイミングなのか、その理由は簡単には分かりません。

それでも今年こそは、と期待してしまうのです。

先日、釣具を整理していると、何年か前に買ってそのままになっていたタチウオ用ワームが出てきました。パッケージは少しくたびれていましたが、まだ十分使えそうです。

せっかくなので、使いかけのワイヤーも引っ張り出し、餌釣り用の仕掛けをいくつか作っておきました。たくさん作っても出番がないと寂しいので、とりあえず最低限だけ。

あとはタチウオ様のお出ましを待つばかりです。

釣りは「釣れているから行く」という楽しみ方もありますが、「そろそろ来るはずだ」と期待しながら準備をする時間もまた楽しいものです。仕掛けを作り、リールを点検し、ルアーを並べる。その一つひとつが秋への助走になっています。

立秋を迎えても暑さはまだまだ続きます。しかし、季節は確実に少しずつ前へ進んでいます。

今年こそ、銀色に輝くタチウオの群れが波止へ押し寄せ、多くの釣り人を笑顔にしてくれることを願っています。

その日を楽しみに、もう少しだけ夏を乗り切るとしましょう。