今年のゴールデンウィーク前半、ようやく5月4日の早朝に竿を出すことができた。
「前半」と言いつつ、実際には残りの方が少ない気もするが、ここ最近の天候不順に加え、野暮用に忙しかったこともあり、なかなか釣行のタイミングが取れなかったのだから仕方がない。
とはいえ、久しぶりの釣りとなれば話は別だ。多少条件が悪くても、海に立てるだけで気分は高まる。直前まで荒れた天気が続いていたが、当日はうまく雨も上がり、北風がやや残る程度。釣り自体には大きな支障はなさそうだった。ただし、荒天直後ということもあり、海には濁りとうねりがしっかり残っている。いかにも「簡単ではなさそうな日」という印象だ。
GW中ということで混雑も覚悟していたが、「最近はあまり釣れていない」という話が広がっているのか、思ったほど人は多くない。結果として、比較的条件の良い釣座にすんなり入ることができたのはラッキーだった。
釣りを開始したのは午前3時。夜明け過ぎまでの約3時間、短時間ではあるが集中して楽しむつもりだ。久しぶりの釣り場でもあるため、あれこれ手を広げず、今回はズボサビキ一本で挑むことにした。タナはひとまずベタ底からスタート。向かい風がやや強めに吹いていたため、竿は中通し1.5号の5.4m、リールはスピニング2000番を使用。仕掛けは自作ではなく、市販のハヤブサ製の蓄光サビキ(白)を選択した。

しかし、開始からしばらくはまったく反応がない。東の空が白み始めるまでの約1時間半、アタリは皆無だった。前夜の雨の影響で様子見していた友人たちも、徐々に釣り場へと集まり始める。やがて海面が見渡せるようになった頃、ようやくフグのアタリがポツポツと出始めた。
「今日はフグのエサやりやな」
そんな冗談が飛び交うほどの渋い状況。それでも完全な無反応よりはマシだ。
そして迎えた夜明け前後、周囲が一気に明るくなったタイミングで、ようやくこの日最初の小アジを1匹キャッチすることができた。
すると、それまで竿を出していなかった友人が「今日はアジ厳しいやろ。バリコ狙いや」と延べ竿を手に取り釣りを開始。しばらく撒き餌を続けると、その効果が出てきたのか、バリコ(アイゴの幼魚)が釣れ始めた。
一方の私は、小アジや豆アジをぽつぽつと拾う展開。決してボウズではないものの、釣果としてはやや物足りない。隣でコンスタントに竿を曲げている友人たちを見ていると、どうしても気持ちが揺れる。
結局、私も方針転換。サビキを変更し、タナを浅くしてバリコ狙いに切り替えることにした。
この判断が功を奏し、すぐにアタリが出始める。バリコはサイズこそ小さいが引きが強く、掛かった瞬間に竿がしっかり曲がるのが楽しい魚だ。久しぶりの釣りということもあり、この「引きの感覚」が何とも心地よく、次第に夢中になっていった。

ただし、バリコは扱いに注意が必要な魚でもある。ヒレには毒があるため、釣り上げた後は慎重に処理しなければならない。また、内臓の匂いが強く、下処理にも手間がかかる。そのため、食材としてはやや敬遠されがちだ。
とはいえ、味自体は決して悪くない。むしろ開きにして焼けば、酒のアテとしては非常に優秀で、いわゆる“通好み”の魚といえるだろう。
私自身も酒の肴としては大歓迎なのだが、問題は家庭事情だ。料理を担当する妻からは、以前より「持ち帰りは10匹まで」としっかり制限をかけられている。それだけ手間のかかる魚ということでもある。
――にもかかわらず。
この日は久しぶりの釣りということもあり、さらにバリコの引きの楽しさに完全にハマってしまった。気づけば数を数えるのも忘れ、ひたすら釣り続けていた。

最終的な釣果は、バリコだけで40匹以上。
さすがに持ち帰りとしては多すぎる量だ。
帰宅後、恐る恐るクーラーボックスを開けると、案の定というべきか、妻の視線はやや厳しめ。それでも今回は「久しぶりだから」という理由で何とか調理してもらえたが、次回からは本当に気をつけるようにと念押しされてしまった。
今回の釣行は、決して大漁とは言えないものの、久しぶりに海に立ち、魚の引きを楽しめたという意味では十分満足のいく時間だった。ただ同時に、「釣りすぎ注意」という新たな反省点も得ることになった。
次回はもう少し計画的に、そして家庭の平和も守りながら楽しみたいと思う。