サビキを自作するようになった理由

サビキ釣りを始めた頃から、自作の仕掛けを使っていたという人は、そう多くないのではないでしょうか。
もちろん、フライフィッシングなどで毛鉤を作った経験があり、「最初からサビキも自作」という人もいるでしょう。しかし今では、100均でもサビキ仕掛けが手に入る時代です。普通なら、まずは市販品を買って釣りを始めるのが一般的だと思います。
私も例外ではありませんでした。
サビキ釣りを始めた頃は「ルンルンサビキ」を使っていました。その後、夜釣りに行くことが多くなり、蓄光タイプのサビキを使うようになりました。なかでもハヤブサの蓄光サビキを気に入って使っていた時期が長く、いわば「蓄光サビキ信者」だったわけです。
そんなある日、7cmハリスのモデルがあることに気付きました。
「この仕掛け、ハリスや針を組み替えたらもっと自分好みにできるのでは?」
そう考えたことが、自作サビキへの入口でした。
疑似針を単体で購入し、自分で組み立てるようになり、同時にウィリーサビキも作るようになりました。さらにフライ作成用の道具をいくつか購入し、スキン巻きにも挑戦。
試行錯誤を繰り返すうちに、自分なりに「一応、魚の釣れるサビキ」は作れるようになったと自画自賛しています。
とはいえ、メーカー製の完成度には、いまだにかなわないと感じることも少なくありません。
それでも私が自作サビキにこだわる一番の理由は「針の大きさやハリス、そしてそれを使う位置を自由に組み合わせられること」です。
サビキでコロダイを狙うという発想

私の場合、自作サビキが特に威力を発揮するのが、夏場の波止際でコロダイなどの大物を狙うときです。
初夏から秋口にかけて水温が高くなると、波止際を回遊する大物がサビキの撒き餌に寄ってくることがあります。
この時期のコロダイは、サビキ釣りで使う撒き餌カゴの周辺に寄ってきて、カゴから出る撒き餌を吸い込むように食べていることがあります。
こうした魚を本気で狙おうと思えば、普通のアジ用サビキでは心もとない。
必要になるのが、太めの道糸、太いサビキの幹糸、そしてサビキかごに付加する軸の太い大きめの針を使った仕掛けです。
なぜそこまで太仕掛けが必要なのか。
それは、波止際の大物には厄介な逃げ場所があるからです。
岸壁の水面下には、場所によって通水用の穴などがあります。コロダイのような魚を掛けると、そこへ逃げ込もうとすることがあります。
一度潜られてしまえば、仕掛けを切られる可能性が一気に高くなります。
そのため、ヒットしたらできるだけ早く魚を浮かせ、主導権を握る必要があります。
ここで「針のサイズやハリスの太さを自由に選べる」という自作サビキのメリットが生きてきます。
竿先の微妙な動きが大物のサイン

面白いのは、魚が寄ってきたことが、水深が深くて魚の姿が見えなくても分かることです。
コロダイが撒き餌カゴを吸い込むようにして餌を食べていると、竿先に微妙な変化が出ます。
まだ針に掛かっているわけではないのに、竿先がわずかに上下する。
撒き餌を吸い込む魚の動きが仕掛けやカゴに伝わっているのでしょう。
感覚的には、鯉の吸い込み釣りに近いものだと思っています。
実際、竿先の変化を見ながら「魚が寄ってきたな」と判断し、通常のアジ狙いのサビキから大物用の仕掛けに交換します。
以前は「そんなことが本当にあるのか?」と思っていました。
なかには「サビキ釣りをしていたら撒き餌カゴを砕かれた」という話まで聞いたことがあります。
当時は「そんな馬鹿な」と思っていたものです。
ところが、自分でもそうした大物を狙うようになってみると、あながち大げさな話でもないのだと思うようになりました。
今朝もサビキから大物狙いへ

さて、今回の釣行です。
朝はまず、いつも通り普通のサビキ釣りからスタートしました。
アジを狙いながら、しっかりと撒き餌を効かせます。
しばらくすると、竿先に微妙な変化が出始めました。
まだ魚は掛かっていません。
しかし、竿先が何となく上下する。
「来たかな?」
そう思い、コロダイ用に用意していた太い幹糸のサビキへ交換しました。※サビキの針やハリスは鰺釣り用の普通サイズです。太いのは幹糸だけ。
撒き餌かごには太めのハリスと、軸の太い大きめの針をセット。
大物を意識した仕掛けです。
そして一投目。
なんと、仕掛けを交換した直後に食ってきました。
ところが私は、「そう簡単には食ってこないだろう」と高をくくって、外した仕掛けや撒き餌カゴを片付けていました。
その時です。
ふと竿を見ると、竿先が水面に突き刺さるように入っています。
完全に出遅れました。
慌てて竿を手に取り、やり取りを開始。
強烈な引きです。
何とか耐えていたものの、最後はサルカンが壊れて痛恨のバラシ。
「これで今朝のチャンスは終わってしまったか……」
そう思いました。
そして二度目のチャンス

仕方がないので、仕掛けを元のアジ釣り用に戻しました。
その後もしばらくサビキ釣りを続けます。
撒き餌を入れて投入する。
回収する。
また投入する。
そんなことを繰り返していると、再び竿先に違和感が出ました。
また、撒き餌カゴを吸っているような感覚です。
「今度こそ!」
そう思って、すぐに大物用の仕掛けへ交換しました。
そして3回目の投入。
その瞬間、ヒットです。
今度はしっかり竿を握っています。
先ほどのバラシを教訓に、魚を走らせすぎないようにしながら、できるだけ早く浮かせます。
今回は仕掛けも持ちこたえてくれました。
魚が水面近くまで浮いてきたところで、隣で釣っていた友人にタモ入れをお願いしました。
無事にネットイン。
上がってきたのは、「50cmを超えるコロダイ」でした。
前回の釣行に続いて、今回も大物をキャッチ。
2回連続で大物を持ち帰ることができ、すっかり自慢の種になっています。
サビキ釣りの「ついで」に狙える大物

サビキ釣りは本来、アジやイワシなどを手軽に狙う釣りです。
しかし、撒き餌に魚が寄ってくるというサビキ釣りの特性を利用すれば、その中に混じってくる大物を狙うこともできます。
もちろん、毎回コロダイが釣れるわけではありません。
仕掛けの太さや針のサイズ、魚が寄ってきたと判断するタイミングなど、最初は試行錯誤の連続です。
私自身も、まだまだ分からないことがあります。
それでも、魚が寄ってきたことを竿先の変化から感じ取り、仕掛けを交換して大物を狙うという釣りには、普通のサビキ釣りとはまた違った面白さがあります。
何より、アジを釣っている最中に突然竿先が海面へ突き刺さり、強烈な引きが始まる瞬間はたまりません。
水温が高い時期なら長く楽しめるのも、この釣りの魅力です。
そして私がサビキを自作する理由も、まさにそこにあります。
狙う魚や状況に合わせて、針の大きさ、ハリスの太さ、幹糸の太さ、仕掛けの組み方を自分で変えられる。
市販品には市販品の良さがありますが、「今日はこの魚を狙ってみよう」と思ったときに、自分で仕掛けを組み立てられる自由さは大きな魅力です。
サビキ釣りをしていて、いつもと違う竿先の動きを感じたら、それはもしかすると大物が撒き餌に寄ってきているサインかもしれません。
最初は試行錯誤になると思いますが、コツをつかめば決して難しい釣りではありません。
いつものサビキ釣りに、ちょっとした大物狙いを加えてみる。
そんな楽しみ方も、なかなか面白いものですよ。